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九大の研究成果:​世界初、活性酸素種への多様な細胞内対抗戦略の発見 & ひきこもり者を適切に支援するための新しい国際評価基準を開発

2020-02-28来源:九州大学
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世界初、活性酸素種への多様な細胞内対抗戦略の発見-活性酸素種原因の病態発症の抑止、ストレス毒性の制御に期待-

   九州大学生体防御医学研究所の藤木幸夫特任教授(研究当時)、本学大学院理学研究院 奥本寛治助教、米国スタンフォード大学のMichael Bassik教授らの研究グループは、ヒト遺伝子の網羅的解析により、活性酸素種によるストレス毒性の制御に関わる多種の遺伝子群を世界で初めて同定、過酸化水素分解酵素カタラーゼをはじめ、様々な因子を介した活性酸素種障害対処戦略を発見しました。
 ヒトをはじめ大気中の酸素を使ってエネルギーを産生する生物は、副産物として活性酸素種を体内で発生します。活性酸素種は病気の進行・悪化や老化に関わるなど生体にとって非常に有害ですが、私たちの体内には活性酸素種を消去する抗酸化機構が備わっており、活性酸素種由来のストレス毒性から自身を守っています。活性酸素種の生成や消去に関わる因子はこれまでにも複数見出されていましたが、その全体像は不明でした。今回、本研究グループは、ヒト全遺伝子に対して網羅的な機能阻害スクリーニングを行い、過酸化水素や活性酸素種によるストレス毒性の制御に関わる遺伝子群の発見に成功しました。そのなかには、既知の抗酸化酵素群や鉄代謝関連因子等に加えて、カタラーゼやそれを細胞内小器官ペルオキシソームへ輸送する複数の因子(PEX遺伝子群)が含まれていました。これらは、以前の藤木らのグループによる、ペルオキシソームから放出されたカタラーゼが抗酸化ストレス反応を担うという発見(Hosoi et al., J. Cell Biol. 2017; 2017年2月8日付 本学プレスリリース)と合致する結果であり、カタラーゼの細胞内局在制御の重要性が再認識されました。さらには、ストレス抵抗性獲得におけるグルコースから五単糖類の生合成経路の重要性も見出しました。
 本研究の成果は、細胞のストレス毒性に対するペルオキシソームの抗ストレス機能の解明に繋がるだけでなく、さらには、活性酸素種が関与する病気や老化の進行等に対する今後の治療法開発や創薬研究において、本成果で同定された遺伝子群が重要な研究リソースとなることが大きく期待されます。


ひきこもり者を適切に支援するための新しい国際評価基準を開発~早期介入および国際化するひきこもり現象の対応実現へ一歩前進~


  「社会的ひきこもり(以下、ひきこもり)」は、6ヶ月以上にわたり就労・学業など社会参加を回避し自宅に留まっている現象のことを一般的に指しています。うつ病や統合失調症など精神疾患の併存も珍しくありませんが、精神疾患の症状によってひきこもる場合には「ひきこもり」に含まないという意見もあり、「ひきこもり」の定義に精神疾患を含むかどうかは以前から議論の的でした。2010年に厚生労働省より発行された「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」の定義の中には、「原則として統合失調症の陽性あるいは陰性症状に基づくひきこもり状態とは一線を画した非精神病性の現象とするが、実際には確定診断がなされる前の統合失調症が含まれている可能性は低くないことに留意すべきである。」と記載されています。また、ひきこもり者の回避状態を評価することは容易ではなく、「することがないから家にいるだけで、人を避けているわけではない」とか「直接人と会うことはないけど、ネットでは友達がたくさんいる」と訴えて支援を求めないケースも稀ではありません。他方、最近では海外でもひきこもりに類する現象が多くの国で報告されており、国際的に通用する「ひきこもり」の評価基準が求められています。
 今回、日本医療研究開発機構 (AMED) ・障害者対策総合研究開発事業および文部科学省科研費・新学術領域研究「意志動力学」の支援により、九州大学病院精神科神経科の加藤隆弘 講師、神庭重信 名誉教授(精神医学)、米国オレゴン健康科学大学のアラン テオ 准教授(精神医学)は、これまでの問題点を整理し、国際的に通用する病的な「ひきこもり(hikikomori: pathological social withdrawal)」の診断評価基準を新たに開発しました。
 今回の定義では、物理的撤退を必須条件とし、それ以外を補足項目とし、回避や併存疾患の有無を問わないとすることで、これまでの混乱の解決を図りました。定義の要点を以下に記します。
  「病的な社会的回避または社会的孤立の状態であり、大前提として自宅に居留まり、物理的に孤立している状況である。こうした状況に対して本人が苦悩しているか、機能障害があるか、あるいは、家族・周囲が苦悩しているということが必須項目である。6ヶ月以上を病的な「ひきこもり(hikikomori)」とし、3ヶ月以上6ヶ月未満を「前ひきこもり(pre-hikikomori)」とする。外出頻度が週2-3回を軽度、週1回以下を中等度、週1回以下で、かつ自室からほとんど出ない場合を重度とする。必須項目ではないが、孤独感の有無、社会的参加の欠如、直接的な対人交流の欠如、間接的な対人交流の有無、および併存症の有無の評価は重要である。」
 今回の基準により、支援が必要なひきこもり状態にあるかどうかを周囲の観察によりスムーズに判断できるようになります。さらに、本人に対して補足項目まで評価することで、一人一人の状態評価に基づく適切な支援を提供しやすくなることが期待されます。本研究成果は、令和2年1月10日に、120ヶ国が加盟する世界精神医学会(WPA:World Psychiatric Association)の発行する国際学術雑誌「World Psychiatry」のオンライン版に掲載されました。

研究者からひとこと


今回の基準が、海外に拡がりつつある若者のひきこもり様の現象や世界的問題である社会的孤立を把握するための国際疫学調査に活用されることで、ひきこもり国際化の実態把握に貢献することが期待されます。さらに、今回新たに「前ひきこもり」状態を評価基準に加えたことで、ひきこもりの予防や早期支援に向けた新しい支援体制の構築が期待されます。


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[责任编辑:何苇] 标签: nbsp hikikomori pathologicalsocialwithdrawal Wor
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