中国の各大学は9月が入学シーズンです。寮に入る新入生の持ち物には、ノートパソコンやスマートフォン、タブレットPCなどの電子製品が増えています。中国大学統一入学試験（通称「高考」）が再開された41年前、新入生が寮に持ってくる物と言えば、洗面器に布団、保存ができる食品や筆記用具でしたが、今の新入生の持ち物はそれと比べると豪華でスマート化されていると言えます。
今では、手書きで写しきれない内容はスマホのカメラで写し、記憶が不確かな知識はネットで調べ、また勉強もオンラインプラットフォームですることができます。このように持ち物がスマート化されますと、学習スタイルもスマート化しています。しかし、それらスマートアイテムを手にしたことで、大学生にはその自制心も試されることになります。例えば、授業中にスマホでチャットしたり、休み時間や放課後にゲームに夢中になったり、宿題もネットで調べた資料を「コピー」して済ませたりしている大学生もいます。
もちろん、それらの責任全てを「スマートアイテム」に擦り付けることはできません。それらアイテムに、「善悪」はなく、学生がそれらを賢く活用できるかは、各人の自制心にかかっているからです。スマホのカメラで黒板を写し、USBメモリーに資料をコピーし、難しい宿題はネットで調べるということ自体は、学習効率を向上させる良い方法であるものの、知識をスマホやパソコンに保存しておくだけで、頭を使ってそれを消化せず、多くの時間をSNSやオンラインゲームなどに費やした場合、それは本末転倒と言わざるをえません。
自制心を身に付けるにはまず、勇気を持って「コンフォートゾーン」から抜け出さなければならなりません。米国の著名な作家・マークトウェインは、「何かやらざるをえない事があったら、毎日必ずそれをやることだ。それが自制を身につけるための黄金律なのだ」という明言を残しています。人はスマートアイテムに依存しがちで、怠けぐせが付きやすいです。実際には、勉強するための時間が十分にある場合は、スマートアイテムの使用をできるだけ控えれば、勉強できるだけでなく、頭や手を使う能力も養うことができるので、一度試してみるのもいいかもしれません。
もちろん、活力みなぎる若者にとって、自制心を身に付けるには長い時間を必要とし、一日に何度も自分の行為を反省するという精神を養い、それを続けなければならなりません。そのためにまず、目標を1つ定め、それを達成するための小さな目標をいくつか定め、それを達成するために努力する過程で、自分をコントロールすることを覚えることができます。それを長期間続けていくことで、塵が積もり山となるでしょう。
