「海外留学を終えて帰国し、就職した際の給与が留学費用より低かった場合、後悔しないのか?」という質問に対する答えが、新東方が北京でこのほど発表した「2019年中国留学白書」(以下、「白書」)で明らかになっています。留学経験がある人のうち約7割が、「留学に対する評価は、給与面に限りません。留学経験が自分の人生にもたらしてくれるものの方が、より重要だ」と答えました。
1.留学の主なモチベーションは「自己を高める」こと
中国教育部(省)の統計データによると、2018年度、中国から海外に留学した人の総数は66万2100万人に達しました。2018年度と2017年度のデータと比べると、留学者数は5万3700人(8.83%)増加しました。
白書によると、ここ3年間のデータを比較すると、「自己を高めること」が、留学を望む学生たちにとって強いモチベーションであり続けており、その割合は年々上昇しています。このうち過半数の学生が、「留学によって国際的な視野を拡大し、人生経験を積み、最先端の知識を学びたい」としており、単に「学歴を得るために留学する」という学生は減少傾向となっています。
また、国内経済の安定した発展にともない、留学を経て外国へ移住したいという中国人学生の考えも次第に薄れ始めており、「留学は学歴の一つ」という考えがますます拡大しています。
2.一足先に「就活モード」に
白書によると、留学スタートと同時に「就活モード」に入る人は2割に達しています。
英ウォーリック大学大学院修士課程に在学している李さんは、「英国では、大学院修士課程は1年間しかありません。留学前にキャリアプランをしっかり立てておかないと、あっという間に卒業を迎え、それから就活を始めた場合、非常に受け身にならざるを得ません。そのため入学前に卒業していたOBやOGと交流しました。かれらは皆、キャリアプランをなるべく早く立てて、早めに就職情報の情報収集をスタートするよう助言してくれました」と話しました。
3.「留学の価値を認める」企業、9割以上
新東方前途出国部の李浚副総裁は、「まず、海外の就職市場は、国内より飽和状態が進んでいるため、卒業後ただちに帰国して就職したいという人がますます増えつつある。また一方で留学を希望する学生のうち、国内での就職市場における競争力を高めたいという留学目的を持った人がますます増加している」と指摘しました。
英レスター大学に留学中の王彦さんは、「もし、単に新しい知識を学ぶだけが目的ならば、わざわざ留学しなくても実現することができます。留学の最大の意義は、観点の衝突や文化を超えた体験、視野の拡大にあります。これらを通して、自分を高めることではじめて、海外帰国組の優位性を発揮できます」との見方を示しました。
また白書の統計データによると、企業の89%が、「留学によってもたらされた価値や意義を認める」とした点は注目に値します。このうち、「専門能力」と「革新能力」が、海外帰国組の優位性として企業が最も重視する能力でした。