鄭　重

                                          法学博士
                                  西南政法大学講師

座右銘：能ある鷹は爪を隠す；心静かであればこそ、より遠くに至る

1、JICA長期研修生として日本に留学にいらっしゃったのですね。では、どういうきっかけでこの機会を得たのでしょう か。九大に留学中、何か困ったことがあったのでしょうか。

　国家科技部に派遣され、JICA長期研修生として九大に留学したのです。九大に入ったばかりのころ、自分で家を 借りなければならなかったし、家具家電も買わなければなかったので、大変でした。幸いなことに、九大の先生方とJICA事務 所のスタッフにいろいろお世話になりました。九大では外国人留学生のために経験と責任感のある先輩を チューターとしてつけてくれたり、また、JICAのスタッフも定期的に会いにきたりしたおかげで、早くも新しい環境に慣れるようになりました。

2、九大法学府での三年間の留学生活は今の人生に何か影響を及ぼしたでしょうか。今回の留学を通して、一番勉 強になった点は何でしょうか。

　九大の法学博士課程は要求がとても厳しく、卒論の進展報告のためには半年ごとに一回のCRS セミナーが行われることになっています。そのセミナーには20分間の英語での発表と4０分間の質疑応答が含まれていて、出席者は法学 院の教師全員、ポストドクターや博士です。つまり私は、専攻である知的財産権の学者からの質疑に応答するだけで なく、会社法、競争法、国際私法、海商法等の分野からの学者達からの質疑にも応答しなければならなかったです。こうした異なる学科間の交流により、自分の視野を広め、新たな研究方法も学ぶこともできました。それによって、正式の国際会議での英語によるスピーチ能力が上達してき ました。九大での3年間の留学を通して、得るところが多かったですが、その中で一番勉強になったのは何をやるにしても真面目で根気よく続けていくこと、また相手の立場に立って考えることです。

3、法学専攻学位と英語専攻学位のダブルデイグリーを取得されたですね。ご存知のところ、現在ダブルデイグ リーを目指している学生が多いのでしょうか。外国語は法学の勉強に何か役割を果たすことができると思いますでしょうか。

　子供のころから英語が大好きなので、法学のほかに、英語の学位も取得しました。知的財産権の関連文献には英語のものが多いため、英語の習得は専門の勉強に大変役立ちました。また九大への留学の申請と博士学位取得ができたことも英語のおかげだと思います。現在もダブルデイグリーを目指している大学生が多くいるらしいで す。興味があるなら、できるだけダブルデイグリーを取得するほうがいいと思います。大変かもしれませんが、今の努力は必ず報われると信じております。　　　　

4、近年、中国が外国との間で起きた知的財産権をめぐる紛争がよく報道されますが、知的財産権専攻のプロとして、 なぜこのような紛争が発生したと思いますか。このような紛争を未然に防ぐには、今後どうすればいいと思われますでしょうか。

　以前、中国の知的財産権法制が健全ではなかったため、中国の企業が外国の企業に所有権侵害ということで起訴 されたケースが多かったです。ところが近年、我が国の企業が積極的に法律を用いて、外国の企業を所有権侵害で 提訴するケースも増えました。これは中国の知的財産権制度がだんだん健全になり、企業は知的財産権に対する 保護意識が強まってきたことを表しています。今後、知的財産権制度の建設、知的財産権保護戦略の実施等の方面 では、さらに工夫しなければならないと思います。

5、80年代生まれの先輩として九大に留学してる後輩及び留学に行こうとする学生に何か言いたいことがありますか。

　九大に留学できることはせっかくのチャンスだと思います。九大の完備な課程システムと先生方の厳しい要求に恵ま れて、大変いい勉強になれると思います。一方、手抜きをしてごまかそうとする考えは絶対持ってはいけません。苦しみを耐え忍び、最後まで頑張るということを心がけるようにして欲しいです。努力すれば、かならず実ります。